
賃貸住宅では壁に穴が開けられず、一般的なエアコンを新たに設置するのが難しい場合があります。
そんなときおすすめなのが窓用エアコン。
窓用エアコンって?どんな人におすすめ?

窓用エアコンは、その名前が表すように、窓枠に設置するエアコンです。
一般的な壁掛けエアコン(セパレートエアコン)は室内機と室外機に分かれていますが、こちらは一体型なのが特徴。
室外機を置くスペースがいらず、配管を通すために壁に穴を開ける必要もありません。
ですから、契約により壁への穴開け工事ができない賃貸住宅にお住まいの方にはうってつけ。
工事なしで設置ができ、退去時には取り外すだけで原状回復が可能です。
工事不要の冷房器具といえばほかに、スポットクーラー(スポットエアコン)というものがあります。
こちらも手軽で便利ではありますが、室内に置いておくタイプのため、設置に場所を取ります。
また、本体背面や排気ダクトから熱風が室内へ排出される構造のため、かえってお部屋が暑くなる場合も。
(排気ダクトを窓から室外に出すモデルもあります)
スポットクーラーは一時的に特定の場所のみを冷やすのに向いています。
窓用エアコンがおすすめなのは、先に述べたとおり壁への穴開け工事ができないお部屋の方。
それからベランダが無いなどで室外機を置くスペースがない方にも適しています。
比較的安価で購入でき、お引っ越し先に持っていくのも容易なので、短い期間だけそのお部屋に住む予定の方にもおすすめです。
窓用エアコン設置のコツと注意点は?

まず、窓用エアコンはどんな窓にでも設置できるわけではありません。
多くのモデルが、2枚の窓を左右にスライドさせて開く構造の「引き違い窓」(いわゆる、よくあるタイプの窓です)への設置を想定されています。
上げ下げ窓・すべり出し窓・ルーバー窓などへの設置は難しいので、あらかじめ設置したい場所の窓のタイプを確認しておきましょう。
窓の寸法にも注意が必要です。
開き幅や高さが設置したいモデルに合っているかを確認しておかなくてはなりません。
(標準的なモデルでは開き幅40cm以上・高さ77cm~140cmで設置可)
また、窓用エアコンは20kg前後の重量があります。
窓枠が重さに耐えられるかどうか、強度のチェックも必須項目です。
必要な事前確認で言えば、電源も。
直接コンセントから電源を取れるかどうか確認しましょう。
延長コードの使用は非推奨です。
窓用エアコンの設置にあたっては、コツが2点ほどあります。
一番大事なのは、徹底的に隙間をふさぐこと。
エアコン本体と窓や窓サッシとの間にすき間があると、冷気が外に漏れたり外気が室内に侵入したりして、著しい冷房効率の低下をまねきます。
エアコンに隙間を埋めるためのパッキンやシール材が付属していますが、市販の隙間テープ(100均などで購入できます)なども活用すると、より完璧です。
もうひとつのコツは本体を水平・垂直に取り付けること。
エアコンが傾いていると、振動や騒音がひどくなったり、排水不良など不具合が起こったりするおそれがあります。
水平器などを使いつつ設置作業をするのがおすすめです。
設置に関しては、自分では厳しいと感じたら、無理せず専門業者に頼むのも手です。
窓用エアコンの設置には、注意すべき点もあります。
ひとつは防犯面。
窓用エアコンを取り付けた窓は、ほとんどの場合、備えつけの鍵が使用できなくなります。
さらに、窓が少し開いたままの状態になるので、補助錠を用いるなど防犯対策はしっかりしておきましょう。
もうひとつは雨漏り。
隙間がちゃんとふさがれていないと、室内に雨水が入ってくる場合があります。
台風の日など雨風が強いときは、一時的にエアコンを取り外したりカバーをかけたりする必要が出てくるかもしれません。
また窓用エアコンは、一体型である構造上、壁掛けエアコンよりも運転音は大きめです。
眠るときなど静かな場面での使用を想定するならば、静音性重視のモデルを購入するのもひとつの方法です。
窓用エアコンの冷却性能と選び方のポイント

窓用エアコンの冷房としての性能は、数値で言うと2.0kW~2.8kWほどが主流となっています。
これは壁掛けエアコンの「6畳~10畳向け」と同等です。
しかしながら、お部屋の断熱性が低かったり、直射日光が当たる部屋に設置したりすると、冷えにくさを感じがちです。
カーテンやすだれで直射日光をカットし断熱性を高め、扇風機で室内の空気を循環させてやると、窓用エアコンの効果を高めることができます。
こまめにフィルターを掃除し、ドレン水の排出確認を行うのも、エアコンの効果を保つには大切なことです。
窓用エアコンの恩恵を最大限受けるには、モデル選びも重要です。
以下、選び方のポイントをまとめてみました。
①適応畳数
窓用エアコンを選ぶ際の目安として、適応畳数というのが各モデル示されています。
「木造6畳/鉄筋9畳」といった具合に、そのモデルを使うのに適した部屋の広さが設定されているのですが、そのまま木造6畳もしくは鉄筋9畳の部屋に設置すると、断熱性や日当たりの関係で冷えにくさを感じてしまうことが、ままあります。
選び方の目安として、設置する部屋の広さよりも適応畳数が1段階上のモデルを選ぶと、快適に過ごすことができるでしょう。
②機能面
ひとくちに窓用エアコンといっても様々な機能を搭載したモデルがあります。
機能面から欲しいモデルを選んでいくのも大事です。
例えば寝室など静かな場面で使いたいのであれば、静音モードのあるモデルがよいでしょう。
雨の多い時期や湿気の多い部屋で快適に過ごしたいならば、除湿機能や換気機能付きのモデルがおすすめです。
ほか、タイマー機能や左右スイング機能など、ご自身が必要とする機能をピックアップし、購入するモデルを絞っていきましょう。
③設置場所
窓用エアコンには各モデル、設置できる窓の条件があります。
どれだけ適応畳数や機能面で理想的でも、そもそもここの条件が合っていないと取り付けができないので、欲しいモデルと設置予定の窓がマッチするかどうか、漏らさずチェックしておきましょう。
暑さを避ける賃貸物件選びも大切

厳しい夏の暑さ。
少しでも涼しく心地よく過ごすためには、窓用エアコンを使うなどの工夫も欠かせません。
が、そもそもお部屋探しの段階で、できるだけ快適なお部屋を選ぶことも大切です。
例えば居室が2部屋あったり、もっと広いファミリー向けの間取りであったり、そういったお部屋を探すならば、エアコンを2台以上設置可能な物件がよいでしょう。
さらに、全室はじめからエアコンが備え付けられているお部屋であれば、初期費用を大幅に抑えられるので、非常にありがたいですね。
お部屋の断熱性や風通しは内見時にチェックしておきたい項目です。
断熱性が低く風通しがよくないお部屋は、熱がこもりやすいのでエアコンの効きも悪くなります。
1部屋に窓が2つ・3つある(2面・3面採光)物件は風通しがよく、効率よく熱を逃がせるのでおすすめです。
また、暑さを避けるにはお部屋の向きも重要です。
とくに西向きのお部屋は午後に日差しが強く入りこみ、室温が高くなりがち。
お部屋探しの際は、お部屋がどちらを向いているかにも注目してみてください。
まとめ~適切なモデル選びで暑い夏を快適に~

いかがでしたでしょうか。
今回は主に、窓用エアコンについて見ていきました。
壁掛けエアコンが設置できずにお困りの方にとっては救世主とも言える窓用エアコン。
とはいえ、設置可能かどうかの条件はありますので、お部屋の窓の寸法・形状はしっかりと確認しましょう。
適応畳数や機能面などから適切にモデルを選べば、暑い夏も快適に過ごせるでしょう。
また、暑さを避けやすい賃貸物件選びも重要です。










