不動産の売買や賃貸の契約などに際して、必ず行う必要があるのが『重要事項説明』です。

不動産の関わる契約時の不備は後々に大きなトラブルに発展するケースもあるため、不動産の売買契約や賃貸契約に際して契約を締結する前に重要事項説明が行われます。
説明する重要事項を全て記載された『重要事項説明書』が事前に準備され、契約の当事者にその書面が交付されます。
重要事項説明書には当該契約を締結するか否かを判断するための内容を含むため、重要事項説明は専門家である宅地建物取引士が担当することが義務付けられており、宅地建物取引士より当事者への説明が行われます。
不動産の各種契約後に発生するトラブルは「そんなことは聞いていなかった」というものが最も多く、そういったトラブルを未然に防ぐために行われるのが重要事項説明です。
「聞いていなかった」ということ以外にも、「聞いたかもしれないが忘れた」「聞いていた気もするが意味を理解していなかった」と理由は様々ありますが、総じて「聞いていなかった」ということを原因とするトラブルを防止するために重要事項説明書を作成し、それに基づく説明を受けたという意味で、消費者は重要事項説明書に記名押印をします。
この重要事項説明は、宅地建物取引業法35条によって義務付けられているため、宅建業者を介しての契約を行う場合はたとえ買主や借主が重要事項説明の省略を希望したとしても、省略することはできません。
例外的に宅建業者が所有する不動産の賃貸に関しては宅地建物取引業法35条の適用が無いため、重要事項説明の義務はないと判断されています。
しかし、トラブルを未然に防ぐという目的のため、多くの宅建業者は重要事項説明を行います。
重要事項説明において説明される内容は、売買か賃貸かでその内容は異なりますが、大きく分けて以下の4種類になります。
1.対象不動産の権利関係
2.対象不動産に係る法令上の制限
3.対象不動産の状態やその見込み
4.契約の条件
この内容が契約を行うための判断材料となっており、法律が制定された当初は70~80項目程度であった内容が、現状では300項目以上にものぼります。
建築規制や土地利用規制に係る法令の改正やこれまで見られなかった紛争事例の発生、消費者意識の高まりなど社会経済情勢の変化等を受けて説明項目が増加したといわれている。
説明項目は年々増加する傾向にあり、消費者保護の観点から、社会経済状況の変化や法令等の制定・改正に伴い説明すべき事項が増加していくことは避けられないと考えられている。
重要事項説明は、不動産の特性や取引の形態に起因して消費者だけでなく物件の所有者や仲介する宅建業者など、取引当事者に不利益が発生することを防ぐための仕組みとされているため、その適正な実施が強く求められています。